オリジナルパターヘッドがついに完成しました!
「エスキャスワンプロジェクト」で試作品の製造を進めていたオリジナルパターがついに完成しました!
エスキャスワンプロジェクトとは?
生砂でのステンレス鋳造を得意とする越川工業ですが、鋳物というのはどのような製品においても、製造過程で不良や欠陥が自然と出てしまう業種です。
そのため、お客様からの要望の製品を製造する際に発生した不良や欠陥に迅速に対応できるようにするために生まれたのが「エスキャスワンプロジェクト」です。
1年に一度、社内で選定した少数のメンバーで思考したオリジナル製品を設計から製造までチームで行います。
基本的には今まで製造したことのない”未知の製品”を作ることになるため、普段の製造過程で経験したことのない不良や欠陥と戦うこととなります。
そういった日常業務で味わえない”不良や欠陥への耐性”をつけることで、日常で製造する製品への品質向上へ繋げています。
前回までの流れ
前回のブログでは、オリジナルパターの図面設計段階から型の用意。
そしてその用意した型へ注湯を行い、加工前の第1行程までの進捗をご紹介しました。
加工して初号機の完成
前回の流し込んだステンレスが固まったパターヘッドから、切削加工をして完成したものがこちらになります。
加工後の当初は、切削面が綺麗な仕上がりで良い感じだったのですが、
いざアドレスをして構えてみると、太陽の下では光が反射し視覚的にもとても気になると思い、ショットブラストという加工をしてマットな仕上がりになるよう変更をしました。
また、グリーン上でストロークした際に芝との滑らかさを出すために、全体的にはツルツルとした滑りやすい加工をしています。
鋳肌面をあえて残し、S・CAS ONEロゴを鋳出し文字にすることで、砂型鋳物ならではの鋳肌が醸し出す質感を表現してみました。(写真右)
(この鋳物肌と美しい加工面のギャップがとても楽しい☺️)
【材質のこだわりポイント】
有名なステンレスパターといえば、某有名メーカーのスコッティ〇〇〇〇〇。
一般的に使われている材質は、SUS303(ステンレスの規格みたいなもの)という材質です。
ですが弊社はあえて、差別化を図るため更に高価な材料で切削難易度も上がるSUS316という材質を選定しました。
なぜ、このSUS316という材質を選んだかというと、
SUS303はSUS316に比べて削りやすく、大量生産もしやすいというメリットがあります
対してSUS316は、粘り気がSUS303に比べて強いので加工が難しいという点がありますが、
ニッケル分が多くてモリブデン(Mo)という材質が含まれているため、錆びにくく腐食がしにくくなるという強みがあります。
(雨の日でもプレーするゴルフには錆は天敵ですよね😅)
SUS316という材質を使ってパターヘッドを作っているメーカーもほとんどないため、世の中にあまり流通しない材質で新しいフィーリングのパターを生み出すという意味でもこの材質を選びました。
いざ試し打ち
早速、実際にゴルフをやる知人数名に使用してもらいました!
そして返ってきた感想は、
「見た目より思ったより軽いね」
「ヘッドの裏面に肉がないからピッチマークが直しずらい」
という意見でした。
実はこの初号機はゴルファーの負担にならないようにと、あまり重くならないように約350gで設計しましたが、意外にも「思ったより軽い」という意見が多かったため、ヘッドの裏面の肉抜きの加工をしない形状に変更することにしました。
フィードバックをもとに2号機へブラッシュアップ
そしてブラッシュアップして改良した試作品がこちらになります。
ヘッドの裏面の肉抜きの加工を無くし、この調整によりヘッド重量が約400gとなり、フィーリングが更によくなりました。
このヘッド裏面の中心部に付肉することにより、ピッチマークが直しずらいという問題点も同時に解消することができました!
またこちらはゴルフのラウンドを快適にする工夫の一つとして、ボールの外径約42mmに合わせた径でヘッドを加工し、ボールを容易に救い上げることができるようにも設計しています😁
フェイス面もミーリング加工ありのタイプ(S)と無しのタイプ(N)の2タイプを選択可能としました。(写真はミーリング加工ありのタイプ)
オリジナルのヘッドカバーも完成
パターの販売に向けてオリジナルのヘッドカバーも同時に製作しました!
デザインは、ゴルフのヘッドーカバーでもあまりない、若年層からでも使いやすい仮面をモチーフとしたデザインにしています。
なぜ仮面のキャラクターデザインにしたかというと、初号機から改良版の2号機の図面製作をしている段階で、ヘッドの形状が何かのキャラクターの顔に見えてきました。
そこでこのキャラクターをベースに、「新たな可能性を生み出す近未来的なゴルフスタイル」というテーマで、斬新なヘッドカバーデザインにしました!
私たちの考える近未来的とは、お客様が求めるパターが自分好みにカスタマイズできることで一層の愛着がわき、この世に1本しかない究極のパターを手にすることができる。
そのベースがこのキャラクターであって欲しいという想いでこのようなストーリーを表現しました。
(弊社代表の越川がこのキャラクターを「S・CAS MEN」と命名し、これからの展開を考えています😊)
これから商品化し、お客様ごとでパターヘッドカバーのデザインもそれぞれオリジナリティを付け加えられるように展開をしていく予定です。
商品化へ
オリジナルパターの商品化へ向けて、日本シャフトのN.S.PROを標準装備として販売する予定です。
オススメのグリップはスーパーストロークですが、グリップはあえて非装着にてお渡しします。
シャフトの長さとグリップはお客様のお好みに合わせてご自身で調整していただけるようにしました。
今のところ鋳物の素材は1点しかありませんが、加工違いでカスタマイズに対応したいと思っています。
要望する材質(SUS304.316.316Lその他)、ロフト角・ライ角、ミーリング加工もお好みのものに、お客様の要望する文字を彫り込んだり、レフティー仕様への対応も可能にしたいとも思っています。
また、今後の展開として素材共通でのマレットタイプと素材形状を新たに型製作したピンタイプの製作も進めていき、黒染めのバージョンも現在試作中です。
2号機は2024年の10月から徐々に販売・配布を始めていく予定です。
ちなみに商品名は「ERA(イーラ)」。
長野県の方言、「いーら!(いいでしょ!)」と、「Elite golfers’ Rising Ambitions(エリートゴルファーの高まる野望)」のアクロニム(造語)になります。
2024年の10月17日(木)〜 10月19日(土)までに行われる「諏訪圏工業メッセ2024」でもこのオリジナルパターを出展するので、興味のある方はぜひお気軽に会場の試打にご参加ください😊